あなたのお名前なんてぇの?

凝った名前の子供が増えてきている。この現象に穂村弘さんはエッセイの中で「まるでアニメの主人公のような名前だ」と書いていた(と思う)。その理由も「アニメを見て主人公に憧れて育った世代が親になり、子供に彼らのように活躍して欲しいと思いを込めて名付けるのだろう」と書いていた(と思ってたけど、ちょっと違った)。
変わった名前を判断する基準はワープロ変換だろうか。一般変換できるのが一般的な名前であるということの基準かもしれない。ちなみに私の名前は簡単に変換できる(どんな名前もワープロの学習機能によって変換できるようになるのだが)。
ワープロソフトも需要に応じて変換文字・変換候補の順位が変わっていく。2005年に名付けられた子供たちが成長し、働く2030年のワープロソフトでは、名前ランキング1位の「ひな」を変換すると「雛」ではなく、当然のように「陽菜」と一発変換され、「ひろと」は「裕人」や「博人」ではなく「大翔」と変換するのだろう。そして大正1年の名前ランキング1位の「正一」の「しょういち」さんは変換候補になかなか自分の漢字が出なくて困るのだ。ご健在ならですけど…。
「子供の名前=親世代のアニメの主人公の名前」という法則に則ると、今の子供たちが親になる2030年頃には「ルフィ」とか「チョッパー」という名前の子供が増えるかもしれない。佐藤ルフィ、高橋チョッパー。印鑑メーカーは早めに、この判子の製造を始めた方が良い。間違いなく在庫になるけど…。
過去のランキングを見ていて、昭和17年から20年の4年連続男の子の名前の1位が「勝」であることに痛みを感じた。翌、昭和21年のランキングではベスト10にも入っていないことに、また違う痛みを感じた。現在、定年を迎えた「勝さん」たちは誰と戦い、誰に勝ったのだろうか。