'12年ワタクシ的大賞(漫画部門)。

エマ (5) (ビームコミックス)

エマ (5) (ビームコミックス)

漫画部門大賞は森薫さんの『エマ』です。完結している漫画を今更、我が物顔で紹介するのも何ですが、この漫画には人生と文化が詰まっていました。私は読書前から読了後暫く経つまで作者を男性だと思っていて、本書をメイドが主人公の「萌え系」漫画だという勘違いから手に取らずにいたのですが、『乙嫁(語り)』から遡上してようやく本書に辿り着きました。番外篇3巻の効用もあって、どの登場人物にも奥行きがあるのが素晴らしく、何度読み返しても様々な場面で思いを馳せる事になるのです。描写力が格段に上がっている大団円の10巻も好きですが、私は↑に紹介した5巻が大好きです。というよりも若き日のオーレリアさん(とリチャード夫婦)が好きです。ある夫婦の過去に遡って出会いを描くという点で『赤ちゃんと僕』の13巻を思い出しました(巻数まで覚えている無駄な記憶力!)。
式の前日 (フラワーコミックス)

式の前日 (フラワーコミックス)

昨年は衝撃的な出会いがあったので新人賞も発表。穂積さんの『式の前日』です。特に最初の2編が素晴らしかったですね。2回読み返して2回目により泣く漫画です。「仕掛け」と言うほど作為的なものでもなく、感動を増幅させる描き方に私、ベッドの上で嗚咽してしまいました(感傷的な時期だったので)。新人らしからぬ完成された新人という印象で、作者の来歴が気になります。絵柄としては、身体の厚みがしっかり出ている所など、先ほど話題に出た『赤ちゃんと僕』の作者・羅川真里茂さんの影が見え隠れします(外国人の描写の中には特に!)。