日曜日の秘密基地。

いよいよ明日30日(日)を以って終了する「日曜日の秘密基地」。しかし3月の放送も番組終了まで残り数回だからといって特別に力を入れる訳でもなく、聴いている限りは終了が嘘じゃないかと思うぐらいの通常営業。ただ3月に入ってからの「秘密基地VIPルーム」は凄かった。人選も凄いのだが、話の内容に圧倒されっぱなし。
特に2日の作家・大江健三郎さんと16日の漫画家・浦沢直樹さんの回は何度も聞き直した。
大江さんの回は、冒頭から大江さんの小説の書き方のお話で動きを止めて聴き入る。が、それよりも何よりも驚かされたのは中盤の、長年の友であり義兄であった伊丹十三監督との人生最後の会話の中に伊集院光が登場していたという事実。と言っても、この偉大なお二方の会話に登場する伊集院光が凄い、という話ではない。十余年の時を経て、大江さんと伊集院さんがあの日あの場でその会話について話しているという運命(大袈裟に言えば)に鳥肌が立つのを抑えられなかった。身体を駆け上がってきた感動の終着点は目頭で、心の震えは涙となって溢れ出すばかり。凄いな、凄いな人生って、と天を仰いでしまった。
浦沢さんの回は、漫画の登場人物たちが思い通りには動かず作者の意図から離れていく現象に対して、『やっぱり中で動いている人たちは自分じゃないからじゃない?』『民主主義がここの世界(作品)に表現されていたらいいな。僕の世界の中で』という回答をしていたのが衝撃的だった。浦沢さんが描くのはまさに世界そのものであって、その中の人たちが人格や自由意志を持つ事を干渉せずただ見守っているという事か…。これは浦沢さんの発言とは少しずれるとは思うけれど、やっぱり多数の人格の存在を許せるぐらい、その世界を丸ごと飲み込めるぐらいに、浦沢さんの脳の容量が大きいという事でもあると思う。ちょっと怖いぐらいに凄い。