京太郎も驚愕のアリバイ崩し。

フィギュアスケート中野友加里選手は幾つかのジャンプにおいて空中姿勢で足が交差し4の字になる巻き足癖を持っている。海外メディアではその巻き足を欠点と指摘しているが、日本のメディアでは触れられない。ルール上は明確な減点対象にならないらしく、また映像を見ていれば言わずもがなの一目瞭然の事であるからだろう。自国の選手の(悪)癖をわざわざいう必要は無いのだ(言う人もいたらしいが)。国内の放送において中野選手の巻き足は一種のタブーに近い。そこには暗黙の了解がある。
今回その暗黙の了解を利用したアリバイ崩しを1つ思い付いた。そう、ご推察の通り、フィギュアスケートのテレビ放送(※1)の映像を一切見ずに音声だけを聞いている人にとっては、中野選手が巻き足ジャンプである事実は伝わらない、という盲点である(※2)。
※1:犯行日時はグランプリファイナル、フリー演技の放送日2007年12月16日の20時前後。
※2:作中に犯人はフィギュアスケートについて詳しくないという説明を挿む。詳しくないのにアリバイ作りにフィギュアスケートを利用するか、という疑問には一切耳を貸さない(笑)

犯人はその日、イヤホンでテレビ音声を聞きながら罪を犯す。が、被害者の周辺から容疑者として捜査線上に浮かんでしまい、刑事から事件当日のアリバイを聞かれる。
「その日のその時刻は自宅でフィギュアスケートをテレビ観戦していました」「その時間だと日本の中野選手が演技していたのではないでしょうか」「えっ、演技の内容ですか?」」「冒頭の3Aに成功しました」「中野選手は一回転倒してしまいました」「転倒したのはトリプルトウループというジャンプでした」「総合得点は172点ぐらいだったと記憶しています」「滑り終えた時の順位は浅田(真)選手に続いて2位でした」。
詳細な供述をする容疑者をかえって怪しく思った刑事は容疑者にある一つの動作を要求する。「では中野選手のフリップジャンプの真似をしてもらえませんか?」「フリップ? いやー、私フィギュアスケートはそれほど詳しくないもので…」「でも、テレビで見ていたのでしょう? 2回目のジャンプですよ、連続ジャンプの」「…あぁ、あれ。あれですか」
しかし犯人、中野選手の演技を見てないものだから記憶の片隅にあった浅田(真)選手のジャンプを再現して飛んでしまう。それを見た刑事、内心したり顔で叫ぶ。
「警部! 下着泥棒の犯人はコイツです!!」

※ 私は「根性」中野選手が好きなので悪意は毛頭ございません。あしからず。
  アイデアは2500ルクスの閃きだったのに完成品は豆電球…。我ながらドイヒーの出来。